パニック障害の症状とは?初期症状・セルフチェック・対処法まで解説

「突然、胸が苦しくなった」「理由もなく不安がこみ上げてきた」
そんな経験に心当たりはありませんか?

以下の症状が当てはまる場合は、パニック障害のサインかもしれません。

パニック障害の症状一覧

  • 激しい動悸や心拍数の増加
  • 発汗
  • 身体の震え
  • 息苦しさや息切れ
  • 窒息感
  • 胸の痛みや不快感
  • 吐き気
  • めまいや身体がふらつく感覚
  • 現実感が薄れる、気が遠くなる
  • 「気が狂いそう」という恐怖感
  • 「このまま死ぬかも」という恐怖感
  • 感覚まひや身体のしびれ
  • 寒気や体が熱くなる感覚

本記事では、パニック障害の主な症状や、前兆・初期~重度までの症状変化、発作時の対処法まで解説します。

症状に当てはまるかを確認できるセルフチェックリストも掲載しているため、早めの受診や相談の参考にしてください。

目次

パニック障害とは?

パニック障害は、予期しない「パニック発作」が繰り返し起こる精神疾患です。

パニック発作とは、突然あらわれる激しい動悸・息苦しさ・めまいなどの身体症状と、「このまま死んでしまうのでは」と感じるほどの強い恐怖を伴う状態を指します。

悪化すると外出が難しくなり、仕事や人間関係など日常生活に支障をきたすケースも少なくありません。

特に10代後半から30代前半の女性に多くみられる傾向があり、発症には個人の性格や生活習慣も関係すると考えられています。

パニック障害の主な症状とは?

パニック障害の代表的な身体症状と精神症状について、詳しく解説します。

身体症状(動悸・息切れ・吐き気など)

パニック障害では、突然あらわれる激しい身体の異変が特徴です。

よく見られる身体症状

  • 激しい動悸、呼吸が苦しくなる
  • 胸の圧迫感や痛み
  • 吐き気、腹部の不快感
  • めまい、ふらつき、手足のしびれ
  • 喉の詰まり感
  • 熱っぽさや寒気

これらの症状は一見、心臓や呼吸器の病気と間違われやすいほど強くあらわれます。

そのため、初めて発作を経験した人は「何かの病気ではないか」と不安に感じてしまうことも少なくありません。

実際、救急外来や内科を受診し、さまざまな検査を受けた末に、異常が見つからずパニック障害と診断されるケースもよくあります

精神症状(強い不安・死の恐怖・現実感の喪失)

パニック発作では、身体の異変に加えて以下のような強い不安や恐怖を感じることがあります

よく見られる精神症状

  • 「このまま死ぬかもしれない」と感じる強烈な不安
  • 気が狂ってしまうかもしれないという恐怖
  • 周囲が現実でないように感じる「非現実感」
  • 自分が自分でないように感じる「離人感」

パニック障害の精神症状は、他の疾患と似ている点も多く注意が必要です。

たとえば、社交不安障害やPTSD、うつ病なども、強い不安や身体の異常を感じる症状があります。

パニック障害の症状の変化(初期~重度)

パニック障害の初期から重度までの症状の変化を、順を追って解説します。

前兆・初期症状(軽い不安・違和感)

はじめは「なんとなく不安になる」「息苦しい感じがする」といった、軽度の身体的・精神的な違和感から始まることが多いです。

明確な発作はなくても、緊張しやすくなったり、電車や人混みに対して理由のない不安を覚えたりするケースがあります。

この段階の症状は一時的におさまる場合もありますが、本格的な発作の前兆の場合もあり、注意が必要です。

中程度の症状(予期不安・行動制限)

発作を何度か経験すると、「また起きるのでは」と感じる予期不安が強まり、生活に制限が出始めます。

たとえば、過去に発作が起きた場所やシチュエーションを避けるようになり、外出や通勤が難しくなることもあります。

週に1回以上の頻度で発作が起きるケースでは、中等度の症状とされ、早期の対応が重要な時期です。

重度の症状(回避行動・外出困難)

予期不安がさらに強まると、発作を避けるための行動(回避行動)が習慣化します。

特に電車やバス、トンネル、会議室など「逃げ場のない場所」を避けるようになります。

重度の場合、ほとんど外出できなくなり、自宅に閉じこもるケースも少なくありません。

こうした回避行動は一時的な安心感が得られる反面、かえって不安が強まってしまい、悪循環を招きます。

パニック障害の症状セルフチェックリスト

「もしかしてパニック障害かも?」と感じたら、まずはセルフチェックで現状を把握することが大切です。

以下のような症状がいくつ当てはまるか確認してみましょう。

  • 激しい動悸や心拍数の増加
  • 発汗
  • 身体の震え
  • 息苦しさや息切れ
  • 窒息感
  • 胸の痛みや不快感
  • 吐き気
  • めまいや身体がふらつく感覚
  • 現実感が薄れる、気が遠くなる
  • 「気が狂いそう」という恐怖感
  • 「このまま死ぬかも」という恐怖感
  • 感覚まひや身体のしびれ
  • 寒気や体が熱くなる感覚

4つ以上当てはまる場合は、パニック障害の可能性があるため、早めに医療機関での相談をおすすめします

日常生活に支障が出ている方や不安が強い方は、迷わず専門家のサポートを受けましょう。

※参考:厚生労働省「表2 パニック発作の診断基準|メンタルヘルス」

パニック障害の症状が出たときの対処法と相談までの流れ

パニック障害の発作は、正しい対応を知っておくだけでも、気持ちが少し軽くなります。

ここでは、発作時の具体的な対処法や、医療機関への相談の流れを解説します。

発作が出たときの対応

パニック発作が起きた際は、まず「命に関わるものではない」と意識することが重要です。

発作は突然始まりますが、多くの場合10分以内にピークを迎え、その後は徐々に落ち着いていきます。

不安が高まったときは、次のような対処法を試してみてください。

  • 深呼吸を意識する
    ゆっくり吸って、長めに吐くことを繰り返します。
  • 意識を別のものに向ける
    「54321法」など、五感に注意を向ける方法も効果的です。
  • 安心できる場所に移動する
    人混みや騒音を避けられる静かな場所で落ち着きましょう。
  • 飴や冷たい水などで感覚を切り替える
    口の中の感覚に集中することで、注意を外に向けやすくなります。


周囲の人は、「気にしすぎ」「落ち着いて」などの否定的な言葉を避け、そっと寄り添う態度を心がけましょう。

症状を軽減する生活習慣の見直し

発作の頻度や強さには、生活習慣が影響していることもあります

具体的には、以下のようなストレスを軽減する習慣を取り入れてみましょう。

  • 十分な睡眠と規則正しい生活リズム
  • カフェインやアルコールの過剰摂取を避ける
  • 軽い運動や散歩などでストレスを発散する
  • スマホやSNSから距離を取る時間をつくる

ただし、セルフケアには限界があるため、症状が長引く場合や、生活に支障が出ている場合は、我慢せず医療機関へ相談しましょう。

医療機関の選び方と相談の流れ

パニック障害の相談先としては、心療内科や精神科が専門になります。

まずは、不安を一人で抱え込まずに、かかりつけ医や地域の医療相談窓口へ相談してみましょう。

心療内科や精神科の初めての診察では、これまでの発作の頻度や起きた場面、日常生活への影響などを丁寧に確認されます

事前に困っている症状などのメモを用意しておくと、スムーズに話せるでしょう。

また、不安が強いときは、家族や信頼できる人に付き添ってもらい受診するのがおすすめです。

パニック障害の原因とは?

パニック障害は、複数の要因が重なって発症すると考えられています主な原因は以下の3つです。

  • 生物学的要因
    脳内の神経伝達物質(セロトニンやノルアドレナリン)のバランスが乱れることで、不安や発作が起こりやすくなります。
  • 環境要因
    強いストレスや過去のトラウマ(いじめ・事故・家庭問題など)が発作のきっかけになることがあります。
  • 体質的要因
    家族にパニック障害や不安障害の経験があると、発症しやすい傾向があります。

ただし、遺伝や体質だけで決まるわけではなく、環境や日々のストレスへの対処の仕方によって大きく左右されます。

パニック障害の治療方法

パニック障害の治療は、薬物療法と精神療法の併用が基本です。

治療はすぐに効果が出るとは限りませんが、継続することで症状の改善や再発予防につながります

薬物療法|脳内のバランスを整える

薬物療法では、発作時の不安を抑える抗不安薬や、脳内のバランスを整える抗うつ薬が使われます。

症状や体質によって薬の種類や量は異なるため、医師と相談しながら調整していきます。

精神療法|不安を落ち着かせる

精神療法では、認知行動療法(CBT)が代表的です。

不安を感じる場面への段階的な慣れ(暴露療法)や、思考パターンの見直しを通じて、不安への対処力を高めていきます。

パニック障害と似た症状のある病気との違いは?

パニック障害の症状は、動悸・息苦しさ・不安感など、さまざまな身体的・精神的反応を伴うため、他の病気と間違われやすいことがあります。

以下に、主な類似症状がある病名とパニック障害との違いをまとめました。

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病名主な類似症状パニック障害との違い
社交不安障害動悸、震え、発汗対人場面・注目される状況で特に強い症状が出る
全般性不安障害動悸、息苦しさ、不安感日常のささいなことに対して過度な心配が長期間続く
PTSD息苦しさ、過呼吸、パニック症状過去のトラウマ体験が発作の引き金になる
うつ病気分の落ち込み、不安感、集中力低下不安よりも気分の落ち込みや意欲低下が中心
甲状腺機能亢進症動悸、発汗、手の震え血液検査でホルモン値に異常がみられることが多い
心臓疾患・呼吸器疾患動悸、息切れ、胸痛心電図・画像検査で異常が確認されることがある

また、適応障害や双極性障害(躁うつ病)でも、パニック発作のような動悸・息苦しさ・めまいといった身体症状が現れることがあります。

これらの病気は症状が重なっているため、判断が難しい場合は、内科と精神科の両方で診察を受け、総合的に判断されるケースもあります。

パニック障害の症状に関するよくある質問

パニック障害にまつわる不安や疑問に、Q&A形式で一つひとつ解説していきます。

パニック障害になるきっかけは?

パニック障害は、強いストレスや緊張が引き金となって発症することがあります。

たとえば、長時間労働や職場の人間関係、育児や介護のストレス、混雑した電車や閉鎖的な空間などが代表的なきっかけです。

こうした負荷が続くと心のバランスが崩れやすくなるため、日頃からストレスを溜め込まないよう心がけることが大切です

パニック障害の発作が起こりやすいシチュエーションは?

パニック発作は、特定の状況で起こりやすい傾向があります。

特に共通しているのは「逃げにくい」「人の目が気になる」「制限された空間」という要素です。

  • 満員電車や飛行機、高速道路などの閉鎖空間
  • 映画館やレストラン、歯科医院、美容院など途中で離れづらい場面
  • スーパーのレジや病院の待合室といった生活の一場面

また、就寝中や自宅にいても突然発作が起こることがあります。

理由のない強い不安に襲われるケースもあり、場所や時間帯に関係なく発症する点がパニック障害の特徴です。

子供や高齢者もパニック障害になる?

パニック障害は、まれに子供や高齢者にも発症する精神疾患です。

特に思春期の子供は心と体が大きく変化する時期で、不安が高まりやすく、分離不安障害や他の不安障害をきっかけに発症するケースもあります。

一方、高齢者では、加齢に伴う生活環境の変化や孤独感などが発症要因となります。

持病が関係している場合もあるため、パニック障害と決めつけず、心臓や呼吸器などに異常がないかを確認することが大切です。

パニック障害は放置しても治りますか?

パニック障害は、自然に軽快するケースもありますが、放置するとかえって悪化する場合が少なくありません。

特に、責任感が強く頑張りすぎてしまう人ほど、無理をして症状を悪化させてしまうため注意が必要です。

つらいと感じたときは専門医に相談し、適切な治療や対応を受けるようにしましょう。

パニック障害の人が安心する言葉は?

発作が起きた際は、周囲の落ち着いた言葉が安心感につながります。

たとえば「大丈夫だよ」「そばにいるよ」「無理しなくていいよ」など、相手を否定せず、気持ちに寄り添う声かけが効果的です。

本サイトが実施したアンケート(回答数:100件/調査元:クラウドワークス)では、「大騒ぎされるのが一番つらい」「発作中は一人にしてほしい」などの意見も見られました。

人によって安心できる対応は異なるため、家族や友人など、そばにいる人は「どう接すれば安心できるか」を事前に本人と確認しておくことが大切です。

パニック障害の症状かも?と感じたら、ひとりで悩まず相談を

パニック障害は、外見からはわかりづらいため、理解されにくいことがあります。

しかし、原因や症状にはきちんとした背景があり、適切な治療やサポートによって回復が見込めます。

つらいと感じたときは、ひとりで我慢せず、心療内科や精神科などの専門医に相談してみてください。

症状を理解し、早めに対応することが、パニック障害の回復への第一歩になります。

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