気分の落ち込みが長く続くなど、いつもと違うなと感じたら、なるべく早めに病院を受診することをおすすめします。自分がうつ病にかかっていることに気づかず、そのまま放置すると、どんどん症状は悪化し治りも悪くなります。初めて受診する時は、「問診票」に記入するのが一般的です。
目次
「まずは問診を受けましょう」
医師は、この問診票をもとに診察を行います。うつ病は体の病気と違い、特定の検査などで診断できないため、医師は問診票を参考に質問しながら診察します。
問診を受ける時は、気になっている症状や、環境の変化があったことなど、どんなことでもありのまま伝えるようにしましょう。
一見病気とは関係がないと思われるようなことでも、診察の手助けになることがありますので、医師に伝えるようにしましょう。
「問診で聞かれることの一例」
- 学歴、職歴、家族構成、趣味など
- 現在の症状や体の状態
- いつから症状があらわれたのか
- きっかけとして思いあたることはあるか
- 家族に同じような状態になった人がいるか
- よく眠れるか、食欲はあるか
- 服用中の薬はあるか
- 喫煙や飲酒、嗜好品について
- 過去に病気やケガで治療を受けたことがあるか
などがあります。是非参考にして下さい。
「あらかじめ症状などをメモしておきましょう」
うつ病は、医師から問診を受けても、症状を思い出せないことがあります。医師に正確な情報を伝えるため、あらかじめ症状や聞きたいことなどをメモして持参するとよいでしょう。
また、診察時は緊張して医師から聞いたことを思い出せないということもありますので、医師からの話を本人や家族がその場でメモするようにすると、さらに効率がよくなります。
「初診のときは家族も一緒が望ましい」
うつ病の患者さんは、焦ってうまく話せなかったり、自分の症状について正確に説明できないことがあり、患者さん本人から詳しい症状を聞き出すことが難しい場合があります。
そのため、初診のときは、患者さんの様子や変化を一番わかっている家族に同席してもらうのが望ましいでしょう。家族から、患者さんの性格や生活環境などを説明してもらえば、診断がしやすくなります。
また、うつ病の治療には、家族の理解と協力が不可欠です。うつ病がどのような病気なのか家族にも知ってもらい、今後の治療方針や患者さんとの接し方を理解してもらうことが、とても重要なのです。
うつ病の治療には、家族の協力が欠かせませんので、なるべく同席するようにしましょう。
「うつ病患者さんの家族の役割」
うつ病の治療では、患者さんだけでなく、家族も病気についての正しい知識を持つことが大切です。
うつ病の治療には、家族の理解とサポートが必要不可欠ですので、家族もうつ病について正しく理解することが大切です。
うつ病は病気で専門医による治療が必要なことや、十分な休養と適切な薬物治療が必要であることなど、家族もしっかりと認識しておかなければなりません。
まず家族がうつ病という病気について正しく理解することが治療の第一歩といえます。
「ゆっくり休養できる環境をつくりましょう」
うつ病の治療には、十分な休養が必要です。うつ病の患者さんは責任感が強い人が多く、会社を休むことや、人に迷惑をかけることに抵抗を感じる人が少なくありません。
うつ病の治療は、仕事や家事などから完全に離れて、徹底して休養することが重要です。
ですから、患者さんが気をつかわずに休める環境をつくってあげることが大切なのです。
仕事を休みたがらない患者さんには、“今仕事に行ってもかえって迷惑をかけることになるから、まずは病気を治しましょう”などと声をかけてあげるとよいでしょう。
家事など手伝えることはみんなで協力して、患者さんの負担を軽減してあげましょう。
「通院にはできるだけ付き添いましょう」
初診時はもちろんのこと、その後の通院も症状が回復するまでは、なるべく家族が付き添ってあげましょう。
うまく説明できない患者さんに代わって、家族から患者さんの様子を医師に説明することができれば、的確な診断に役立ちます。
さらに治療方針を家族も一緒に聞くことで、患者さんと共に治療に取り組むことができます。また、症状が重い患者さんの場合は、通院中の事故や自殺を防ぐためにも、極力付き添うようにしましょう。
「薬をきちんと飲んでいるかチェック」
うつ病の薬は、種類や量など患者さんによって違います。患者さんの中には、医師の指示通りに薬を飲まない人もいるので、薬をきちんと飲んでいるかをチェックするのも家族の大切な役割です。
医師は、患者さんの症状にあわせて薬の種類や量を決めていますので、勝手に薬の量を減らしたり、飲むのをやめてしまうと、かえって症状が悪化したり、治療が長引くこともあります。
薬の重要性を患者さんに理解してもらい、きちんと指示通りに飲んでいるかチェックしましょう。
可能であれば、家族が薬を管理し、飲んでもらうと安心です。また、副作用や症状の変化など、患者さんの様子をできるだけ観察しましょう。
もし変化があった場合は、メモするなどして次回の診察のときに医師に伝えるようにするとよいでしょう。
記事監修・佐藤典宏(医師)
1968年・福岡県生まれ。
1993年・九州大学医学部卒業後、研修医を経て九州大学大学院へ入学。 学位(医学博士)を取得後、米国ジョンズホプキンス医科大学に5年間留学。現在は福岡県内の病院で、診察と研究を行っている現役医師。メディカルサプリメントアドバイザー資格