抗うつ薬の服用でもっとも注意する事は、医師の処方通りに飲むことです。抗うつ薬は、薬の効果があらわれるまでに時間がかかります。
また副作用があるため、薬の量を十分の判断で減らしてしまう、勝手に飲むのをやめてしまう人がいますが、絶対にやめましょう。
目次
「自己判断は危険」
医師は薬の効果や副作用などを見ながら治療方針を決めていきますので、自己判断で勝手に薬をやめてしまう、量を減らすと、治るものも治らなくなってしまいます。
副作用がつらい、効果があまりみられないなどの時は、診察時に医師に伝えましょう。
副作用のくわしい情報(どんな症状なのか、薬を飲んですぐでるのか時間がたってからか等)についてメモをとっておくと、医師に適切に伝わります。
また、効果がないからといって、決められた量より多めに飲む事も危険なのでやめましょう。
薬はきちんと処方通りに飲みましょう。
「抗うつ薬の様々な症状」
抗うつ薬は、薬の飲み始めの時期と薬の飲み終わりの時期(治療終了間近)に副作用が出やすくなりますので、自分の体調をよく見ておくことが重要になります。
飲み始めの時期
薬の効果は2~4週間で徐々に表れますが、副作用がそれより早く出現することもあります。
飲み始めの時期はめまいや吐き気などの副作用が出る場合がありますが、徐々に軽くなります。
不安感などが一時的に強く出る場合もあります。
一般的に、薬は少量からはじまり様子を見ながら増やしていきます。
治療の時期
うつ病の症状は、よくなったり悪くなったりを繰り返しながら、少しずつ軽快していきます。
少し良くなったからといって、自己判断で薬を減らしたり、やめたりしないようにしましょう。
症状の良い時期は飲み忘れも多くなります。気を付けてください。
飲み終わりの時期
薬をやめるときは必ず医師の判断にて数週間から数か月かけてゆっくり減らしていってください。
急に薬をやめる、量を減らしすぎるなどの場合、中止後症状が出ます。
中止後症状の一例は下記のとおりです。
- 手足がしびれているようなピリピリ感がおこる
- 頭痛やめまい、吐き気や悪寒がおこる
- フワフワした感じがする
もし、どの時期においてもいつもと何か違うと感じることがあったら、医師に相談することが、うつ病の悪化や再発を防ぐことにつながりますので、必ず相談し医師の指示を仰ぎましょう。
「抗精神薬の様々な症状」
抗精神薬を飲むことによって出現する副作用は、抗うつ薬に比べれば症状が重くないものが多いですが副作用を知っておくことはとても大切です。
抗精神病薬の副作用は、その薬がうつ病であらわれる症状以外の神経系に作用してしまうために出現します。
抗精神薬の代表的な副作用は以下の通りです。
- 日中に眠たくなる
- めまいや起き上がった時などにふらつく起立性低血圧
- 口が渇く
- 便秘や排尿障害
- 不整脈
- 体重増加
副作用には投与量、投与期間、持病の有無、薬への感受性など個人的要因が複雑に関係してきます。
副作用の出方は個人差が大きく、稀に悪性症候群など重篤な副作用が出ることもあるので注意が必要です。
「薬は必ず1回分ずつ服用しましょう」
うっかりして薬を飲み忘れることもあるでしょう。そんな時は、気づいた時に飲んで問題はありませんが、その後の薬を3〜4時間ほどあけて飲むようにしましょう。
飲む時間の間隔が短すぎる場合は、1回飲むのを飛ばしてもよいでしょう。飲み忘れた分を2回分まとめて飲むのは絶対にやってはいけません。
必ず1回分ずつ飲みましょう。
また薬の処方が食後の場合、食事をとってもとらなくても、薬は飲むようにしましょう。
食事を取っていない場合は、多めの水や白湯などで飲むとよいでしょう。
抗うつ薬は、一定の血中濃度を保って効果があらわれる薬のため、1日にどのくらいの量を服用したかが重要なのです。
薬を飲むのを忘れがちという人は、家族に薬の管理をお願いしてもよいでしょう。そうすることで飲み忘れを防ぐことができます。
「主治医に相談することが大切」
抗うつ薬は、薬の効果より副作用の方が早くあらわれることがあります。副作用がひどくて薬をやめてしまっては、薬の効果がなくなってしまいます。
副作用があまりにつらくて我慢できないときは、主治医に相談しましょう。可能であれば、薬の種類を変えてもらう、量を減らすなどしてもらいましょう。
また、抗うつ薬には飲み合わせの悪い薬があります。抗うつ薬を飲んでいるときに風邪など他の病気にかかったときは、うつ病で処方されている薬を医師または薬剤師に伝えましょう。
自分の判断で市販薬などを勝手に飲むのは危険ですのでやめましょう。
また、風邪などで他の薬を飲んでいる時はそのことを主治医に報告することも忘れないようにしましょう。
サプリメントや漢方薬なども同様です。
「まとめ・焦らずに治療を」
うつ病はきちんと治療をすれば治る病気です。薬の効果がないからといって、服用をやめてしまっては、治るものも治りません。
薬の効果がでるまでに時間がかかることもありますので、あせらず根気よく治療を続けていきましょう。
記事監修・佐藤典宏(医師)
1968年・福岡県生まれ。
1993年・九州大学医学部卒業後、研修医を経て九州大学大学院へ入学。 学位(医学博士)を取得後、米国ジョンズホプキンス医科大学に5年間留学。現在は福岡県内の病院で、診察と研究を行っている現役医師。メディカルサプリメントアドバイザー資格