人間にとって適度なストレスは、活動する時の活力源となりますが、過度なストレスは、心に悪影響をあたえ、うつ病を引き起こす原因となります。
一時的な強いストレスよりも、長期間にわたって続くストレスが心にダメージをあたえるといわれています。ストレスを受けると、人間の体はどのように反応するのか説明していきます。
「ストレス反応の3ステップ」
ストレス反応には3つの段階があります。
最初は、外部からのショックに対して、ストレス状態から回復しようと、体にさまざまな反応が起こります。
一時的に体温や血糖値、血圧などが下がり、神経系の活動や筋肉の緊張が抑えられます。
その後ストレスへの適応反応が始まるため、体温や血糖値、血圧なども上昇し、神経系の活動も活発になります。
この時期は、まだストレスの程度が軽く、ストレスを受けているとは感じない人もいるかもしれません。
精神的にストレスを感じていなくても、体はサインを出しています。
疲れやすくなったり、頭が重い、目が疲れたり肩がこる、物忘れが多くなる、イライラする、朝スッキリ起きられないなど、体の症状があらわれます。
これらの初期の症状は、、ストレスが解消しきれなくなっているあらわれといえるでしょう。
次に、徐々にストレスへの適応反応が完成していきます。ストレス状態が続くと、神経系や免疫系が働き、ストレスに打ち勝とうと抵抗力が高まります。
ストレスに対して心と体が必死にバランスを保とうとしている時期です。
そしてさらにストレスが長引くと、ストレスに対処しきれなくなり、だんだんと抵抗力が落ちていきます。
精神的にも身体的にも追いつめられ、さまざまな症状があらわれます。
「ストレスであらわれる症状」
- すぐ疲れてしまい、なかなか疲れがとれない
- 下痢や便秘になる
- 何もやる気がおきない
- イライラしてキレやすくなる
- 体重の減少
- 寝つきが悪くなったり、夜中に目がさめる
このような症状は、ストレスによって心身がダメージをうけて余裕がなくなっている状態で、危険です。
このようにストレスが心にダメージをあたえ、うつ病を引き起こす原因となります。
普段から、ストレスがたまっているなと感じたら、うまく対処することが大切です。
しかし、自分がストレスにさらされていることに気づいていない場合、自分にストレスがかかっていることを認めたがらない場合などがありますので、注意が必要です。
結果、ストレスがどんどん蓄積されて、うつ病を発症することになりかねません。
「ストレスの感じ方」
ストレスの感じ方や受け取り方は人によって異なります。
同じ出来事をストレスに感じる人もいれば、感じない人もいます。ですので、ストレス自体がよいとか悪いとかではなく、そのストレスをどう受け止めるかが問題なのです。
ストレスは人間にとって必要なものであり、ストレスがまったくない状態がよいとはいえません。
適度なストレスは、緊張感をもたらしパフォーマンスを向上してくれますし、人生において達成感や充実感を味わうためには必要なのです。
しかし、心身にダメージをあたえるストレスは問題です。一時的な強いストレスよりも、長期間にわたって続くストレスのほうが悪影響といわれます。
少しのストレスでも耐えられない人もいれば、いくつかのストレスが重なってもうまく対処できる人もいます。
このようなストレスの受け止め方の違いは、育ってきた生活環境や、経験、生まれ持った性格、考え方や価値観などが影響すると考えられています。
「ストレスを感じやすい性格はこんなタイプ」
まじめで、責任感や正義感が強く完璧主義者の人は、何事にも妥協せず取り組み、頑張りすぎてしまったり、自分を犠牲にしてでもやり遂げようとするので、ストレスを受けやすいタイプです。
また、人のミスを許せずカッとなったり、自分の思い通りに事が運ばないと腹を立てる、がんこで厳しいタイプもストレスをためやすいタイプです。
他にも、内向的でおとなしいタイプの人もストレスを感じやすいといわれています。自分の考えを相手に伝える事が苦手で、頼まれたことに嫌と言えず引き受けてしまい、後で悩んでストレスとなります。
また、些細なことを気にする心配性の人は、周りに気をつかいすぎて疲れてしまいストレスをため込んでしまいます。
「A型性格(気質)の人も注意が必要」
アメリカの学者によってとなえられた“A型性格(気質)”とは、
- 活動的で野心的
- 競争心が強く攻撃的
- せっかちでイライラしやすい
- しゃべり方が早口で食事のスピードが速い
- 常に時間に追われている
- 機敏で動きがせかせかしている
このようなタイプのことをいいますが、ストレスを受けやすく、うつ病になりやすいタイプといわれています。
過剰なストレスは、心や体に悪影響をあたえ、うつ病の原因となります。ストレスをうけやすいタイプの人は、ストレスをため込まないよう、自分で息抜きをしてストレスを解消するなど、うまくコントロールすることが大切です。
記事監修・佐藤典宏(医師)
1968年・福岡県生まれ。
1993年・九州大学医学部卒業後、研修医を経て九州大学大学院へ入学。 学位(医学博士)を取得後、米国ジョンズホプキンス医科大学に5年間留学。現在は福岡県内の病院で、診察と研究を行っている現役医師。メディカルサプリメントアドバイザー資格