ストレスをためると、うつ病が再発しやすくなりますので、普段の生活でできるだけストレスをためないよう心がけることが大切です。
そのためには、まず生活のリズムをととのえましょう。規則正しい生活を送ることで、自律神経のバランスが安定し、ストレスに対する抵抗力を高めてくれます。
目次
「ストレスにうまく対応しよう」
私たちの生活は、大きく分けると“仕事(勉強)”“食事”“睡眠”“運動”“休養”の5つの要素から成り立っています。
この5つのバランスがうまくとれていると、ストレスがかかっても、ストレス耐性が高まっているため、うまく対応することができるのです。
この5つの中でも特に重要視されているのが“睡眠”“食事”“休養”の3つです。うつ病になりやすい人は、まじめで几帳面で責任感の強い人が多く、仕事や勉強を頑張りすぎてしまい、“睡眠”“食事”“休養”をおろそかにしがちです。寝る時間がもったいないという考え方をする人もいますが、このような考え方は改めた方がよいでしょう。
うつ病がよくなっても再発してしまう可能性があるからです。再発を防ぐためには、“睡眠”“食事”“休養”の3つを改善することが重要なのです。
「“体内時計”のリズムを整えましょう」
私たちの人間にはみな体内時計が備わっています。1日が24時間であるように、私たちの体内時計もほぼ24時間でコントロールされています。
体内時計には、自律神経やホルモンの分泌をコントロールする働きがあります。うつ病のため不規則な生活になると体内時計のリズムが乱れ、
- 血圧が不安定になる
- 自律神経に支配されている内臓の働きが低下する
- 体が疲れやすくなる
- ホルモンの分泌が少なくなりストレスに弱くなる
などさまざまな影響が出てきます。
この体内時計は、朝日を浴びることで時間のズレをリセットしています。規則正しい1日のリズムをつかむためにも、朝起きたら必ずカーテンを開け、朝日を浴びるようにしましょう。
朝起きてすぐ太陽の光を浴びると、光の信号が脳に届き、体内時計がリセットされます。
三度の食事を規則正しくとることも大切です。
特に朝食は、すばやく血糖値を上昇させ1日のリズムをつくりやすくするので、とても重要です。
体内時計のリズムを乱さないためには、起床の時間や食事の時間をできるだけ一定にし、規則正しい生活をすることが大切です。
その他にも、昼間はだらだら過ごすのではなく、外出して人と会って話しをする、ウォーキングをして体を動かすなどメリハリのある生活をすることも大切です。
また自分の行動を記録することで、生活リズムをチェックするのもよいでしょう。
体内時計をととのえることが、うつ病の回復にもつながり、再発予防にも役立ちます。
「避けることができるストレスを減らす」
ストレスには、家族や配偶者との死別や本人の病気、解雇や失業など、避けることができないストレスと、人間関係のトラブルや仕事による過労など、努力すれば避けることができるストレスがあります。この“避けることができるストレス”をいかに減らすかが大切なのです。
特に、人間関係のトラブルを減らすことは非常に重要です。そのためには、自分の伝えたいことを率直に伝えましょう。“無理だ”“できない”と思ったことは、はっきりと断るようにし、固定観念にとらわれず、自分の気持ちと正直に向き合い、相手に伝えることが大切です。また、相手の反応を気にし過ぎると、ストレスをためますので、気にしすぎないようにしましょう。
人間関係のトラブルがストレスの要因となることは多いですが、よい人間関係はストレスを減らすということも知っておく必要があります。自分の悩みを打ち明けることができる家族や友人がいれば、一人で悩みを抱え込むこともありません。
ストレスを減らすには、よい人間関係を築くことも大切です。現代人は、ストレスになるような人間関係が多く、ストレスを解消できるような人間関係が少ないため、ストレスをためやすいとも考えられます。
「親しい人との関係を良好に保つ」
私たちは、大きく分けると次のような3つの人間関係を持っています。
○自分の親や兄弟姉妹、配偶者や恋人、非常に親しい友人など重要な存在
○ふつうの友人、親戚、近所の人など、少し距離をおいてつきあっている人
○仕事や職場上での人間関係
この3つの人間関係が良好な人ほど、ストレスがたまりにくいといわれています。この3つの人間関係の中でも、もっとも親しい存在である親や親しい友人などとの人間関係がうまくいっていない人は、大きなストレスを受けやすく、うつ病を引き起こす原因となることもあります。
ストレスを溜めないように
ストレスをためないためにも、またうつ病を防ぐためにも、親や配偶者、兄弟姉妹、親しい友人などの自分にとって重要な存在の人とは、常にコミュニケーションをはかり、親密で良好な関係を築くことが大切です。
一方で、仕事上の人間関係や、少し距離を置いてつきあっている人とは、つかず離れずの距離感でつきあっていくことが、ストレスを減らすためには必要かもしれません。ストレスをためない、ストレスを減らすことはうつ病の再発予防にとても重要ですので気を付けて生活しましょう。
記事監修・佐藤典宏(医師)
1968年・福岡県生まれ。
1993年・九州大学医学部卒業後、研修医を経て九州大学大学院へ入学。 学位(医学博士)を取得後、米国ジョンズホプキンス医科大学に5年間留学。現在は福岡県内の病院で、診察と研究を行っている現役医師。メディカルサプリメントアドバイザー資格