うつ病は大人だけの病気ではありません。現在、子供から老人まで多くの方がかかりその世代により様々な特徴があります。
世代別のうつ病の症状を見てみましょう。
「子供世代のうつ病」
以前は思春期後の心の成長を過ぎてからの大人の病気だとされてきましたが、最近では「いじめ」などの問題で、子どものうつ病が増えています。
子どもは自分の感情をうまく説明できないため、行動であらわすことが多いのです。
- ちょっとしたことでイライラし反抗的な態度をとる
- 話をしなくなった
- 学校へ行きたがらない
- キレやすくなる
- 朝に腹痛や頭痛など体調不良を訴える
- 落ち着きがなくなる
- 何に対しても面倒くさいという
などの症状が見られます。
子どものうつ病は、治療すれば快方に向かう事が多いですが、放置すると悪化したり、うつ病を成人になってから再発しやすくなるので、いつもと違う行動や自分を卑下するような発言が目立つ時は医療機関に相談しましょう。
「思春期世代のうつ病」
思春期は体が急激に発育する時期で、受験や就職など強いストレスがかかることも多く、うつ病になることが多い年代です。
基本的には大人の症状と似たような
- 不眠
- 身体がだるい
- 何をするのもおっくう
の症状があらわれます。また思春期に特徴的な
- 引きこもりの状態
- キレやすくなり攻撃的になる
という問題行動を起こすこともあります。
大人のように自分がうつ病であるという認識が欠けていることが多いため、判断が非常に難しく注意が必要です。
「青年期世代のうつ病」
青年期はこころが急激に変調しやすい時期で、学校生活が終わり、夢や希望を抱き社会に出ていきますが、さまざまな環境の変化などが多い時期にもなります。
社会に出て、会社の雰囲気になじめない、会社の人間関係など職場環境に適応できないことでのうつ病を発症するケースがあります。
また、目標にしていた大学に合格できた、入社できたなどの目標達成後に、無気力状態になってしまいうつ病になるというケースもあります。
- 無気力
- ひきこもり
- 会社に行きたがらない
- 社会に不適応だと感じてしまう
- 自分に自信がもてない
などの症状が青年期にはみられます。
青年期は生活リズムや環境の変化が激しい時期なので、それに対応できず、うつ病を発症することが多いので注意が必要です。
「中高年世代のうつ病」
中高年世代は、責任も重くストレスが多くなる年代です。
仕事や職場、家庭など悩みが多くなるのに加え、体の面でも体力の衰えを感じ“老化”を意識したり、糖尿病、高血圧などの生活習慣病などがあらわれる年代です。
またがんなどの病気を発症し落ち込んだりすることがきっかけでうつ病になることも多い年代です。
そのため、40歳前後はうつ病を発症しやすいと言われています。この年代のうつ病は、うつ病の典型的な症状があらわれます。
- ゆううつになる
- 体がだるい
- 食欲がない
- 頭痛がする
- やる気が起きない
- 仕事や趣味などに興味がわかない
- 不眠
などの症状があらわれ、時には死を考えたり、“アルコール依存性”になることもあるので注意が必要です。
また自分が気づかないうちにストレスを感じ、原因やきっかけがわからない内因性うつ病が多いのもこの年代の特徴と言えるでしょう。
「老年期世代のうつ病」
65歳以上の老年期になると、自分の老化をはっきりと意識するようになり、退職などによって生活環境が大きくかわります。
親しい人との別れなどで孤独感が深まる時期でもあります。このような変化が心に影響をあたえ、うつ病にかかりやすくなります。
ほかの年代と比べると、ゆううつ 感はあまりなく、身体的な症状が目立つ“仮面うつ病”のようになります。
- ヒステリックになる
- いつでもイライラする
- 被害妄想
- 喪失感や不安感が強い
- 頭痛
- じっとしていられない
- 受け答えがしっかりできない
等の症状が特徴です。老年期のうつ病は症状が軽いことが多いため見逃されやすいことと、またうつ病と認知症の症状には似ているものがあり、周りの家族も認知症と勘違いしてしまうことがあります。
このよううに、一見、認知症のように見えるうつ病のことを“うつ病性仮性認知症”といい、認知症との区別はとても難しいのです。
- 外出したがらない
- 口数が少なくなったと感じる
- さみしさを訴える
- 自分は役にはたてない。などと自分を責めるような発言がある
というような症状がある場合はうつ病の可能性があるので、専門医にかかることをお勧めします。
もし、うつ病だった場合はうつ病がよくなっていけば認知症のような症状もなくなっていきます。
また、老年期のうつ病は、1度かかると長引いたり再発することが多いので注意が必要です
このように世代によってうつ病の症状は様々です。どの世代にも言えることは、症状に気づかず放置すると悪化してしまい、自殺という最悪の結果を招くこともあります。
そうならないためにも、このような症状に気付いたら医療機関に連れて行き相談すると良いでしょう。
記事監修・佐藤典宏(医師)
1968年・福岡県生まれ。
1993年・九州大学医学部卒業後、研修医を経て九州大学大学院へ入学。 学位(医学博士)を取得後、米国ジョンズホプキンス医科大学に5年間留学。現在は福岡県内の病院で、診察と研究を行っている現役医師。メディカルサプリメントアドバイザー資格